晶文社

東京・神保町にある、文学・芸術を中心とした書籍と各種学校案内書を発行する出版社です。犀…

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東京・神保町にある、文学・芸術を中心とした書籍と各種学校案内書を発行する出版社です。犀🦏のマークが目印です。

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  • 立ち読み・試し読み

    本のまえがき・あとがき・ぬきがき、イベントレポートやインタビュー記事など、ちょっと立ち止まって読んでみてください。

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    注目の書き手たちによるオリジナルのウェブ連載。

  • マイ・スクラップブック

    スクラップとは、断片、かけら、そして新聞や雑誌の切り抜きのこと。われらが植草甚一さんも、自分の好きなものを集めて、膨大なスクラップ・ブックを作っていました。 ここでは、多彩な魅力をはなつ書き手たちのスクラップブック──つまり、自身がこころから興味・関心を寄せるモノ・コトについて書いたエッセイ──をご披露いただきます。(編集部)

  • 姫乃たまさん『永遠なるものたち』を巡って

    『永遠なるものたち』に関する記事をまとめています。

  • 新刊・既刊・パブ情報

    新刊・既刊をとわず、書評や紹介の情報をアップします。

最近の記事

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はじめますので、ご挨拶

こんにちは、わたしたちは晶文社という出版社です。 創業から今年で60周年を迎えます。人文・思想や芸術、文学、ライフスタイル、働き方など、さまざまなジャンルで単行本を出版しています。『吉本隆明全集』も継続的に刊行中。学校案内や資格検定の書籍も手がけています。超ロングセラー『考える練習をしよう』(初版1985年)や『数の悪魔』(初版1998年)などでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。 目印は、渋みのある犀(サイ)のマーク。速足ではないけど、しっかりした足取りで。優れた書

    • 立ち読み『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』

       アレハンドロは73歳の男性で、スペインのサン・ペドロ・マンリケという小さな村の出身だ。10代のころから、家族とともに地元の火渡りの儀式に参加してきた。私は何年ものあいだに数多くの火渡りの儀式に立ち会ったが、この村の儀式ほど激しいものはほかになかった。2トン以上のオークの木を使って、アルミニウムを溶かすほど熱い火をおこし、参加者は別のひとりを背負い、はだしで火の上を歩く。たいていの人は子どもを背負う。だが、アレハンドロは違った。自分の体重より重い大人を背負うことが多かった。ア

      • 藤井直敬さん『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』書評

        『Ritual(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』を読んで、儀式について僕がぼんやりと感じていた違和感についてかなり整理できた。  僕は博士号を取ってからMITのラボでポスドク期間を6年半過ごした。そのラボは、脳内の基底核[きていかく]という場所を中心としたHabit Formation(習慣)ができあがる仕組みの解明を研究テーマの一つに据えていた。簡単に言うと、習慣が身につく仕組みを研究するラボで、習慣については普通の人より考えてきたほうだと思う。習慣という

        • 詳細目次『話が通じない相手と話をする方法』

          第1章 会話が不可能に思えるとき  最低なやつとの会話   不可能な会話とは何か?   不可能な会話はなぜ起こるのか?   何ができるのか?   この本で学べることと、この本の使い方 第2章 入門:よい会話のための7つの基礎──通りすがりの他人から囚人まで、誰とでも会話する方法 #1目標   なぜその人と会話するのか?  #2パートナーシップ   パートナーであれ、敵になるな。  #3ラポール   よい関係を築き、保つこと。  #4傾聴   聞くのは長く、話すのは短く。

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        はじめますので、ご挨拶

        • 立ち読み『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』

        • 藤井直敬さん『RITUAL(リチュアル)──人類を幸福に導く「最古の科学」』書評

        • 詳細目次『話が通じない相手と話をする方法』

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        • 障害とパートナーシップ会議(石田月美×鈴木大介)
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        記事

          たちよみ『話が通じない相手と話をする方法』監訳者解題(by 藤井翔太)

          はじめに本書は、Peter Boghossian & James Lindsay, How to Have Impossible Conversations: A Very Practical Guide (Da Capo Lifelong Books, 2019) の全訳である。原著のタイトルを直訳すると、「不可能な会話を行う方法──非常に実践的なガイド」とでもなるだろうが、内容と目的、そして筆頭著者であるピーター・ボゴジアンの学術的背景とそれに由来するアプローチをより明

          たちよみ『話が通じない相手と話をする方法』監訳者解題(by 藤井翔太)

          たちよみ『もし友だちがロボットだったら?』訳者あとがき(by 永井玲衣)

          大人たちは、子どもの「哲学的な問い」が大好きです。子どもたちがじっと考え込んでいる姿が大好きです。子どもがこんな「深い」ことを言ったとか、面白いことを言ったとか、そんなエピソードが大好きです。 しかし、この「大好き」という気持ちが、子どもと一緒に考えるということを妨げることがあります。自分がぐっとくるようなことを言わせようとしてしまう。考えてほしい問いを、かれらに押しつけてしまう。 あなたにも、心当たりがあるでしょうか。 思い返してみれば、わたしたちは、考えることが大事と言

          たちよみ『もし友だちがロボットだったら?』訳者あとがき(by 永井玲衣)

          コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。

           初めに、いまから200年ほど時をさかのぼって、その時代の天才詩人ゲーテの代表作『ファウスト』を見てみよう。  この疾風怒濤の一大悲劇の主人公ファウスト博士は、万巻の書を読み尽くし、いくつもの学問を究め、その結果、「何もわからないことに気づいた」人物である。  かれはその後、悪魔メフィストフェレスをともなって現実世界で快楽や権力を追求することになるのだが、それはともかく、今日の視点でこの『ファウスト』の冒頭を見ると、さすがに時代の違いを感じないこともない。  ファウスト博士が

          コンテンツ飽和時代、人生を着実に退屈にする「効率重視のパラドックス」を乗り越えるためのたったひとつの冴えたやりかた。

          6/13発売『インフルエンサーのママを告発します』作者のことば

          作者のことば  子どもが生まれたとき、わたしはミニホームページ[*1]とカカオストーリーに子どもの写真をのせました。かわいくて、おかしな姿をすべて記録にのこしておきたかったのです。子どもがそれなりの年齢になるまで、メッセンジャーのプロフィールにも子どもの写真を使っていました。  ところがある日、子どもが「SNSに自分の写真をのせないでほしい」と言ってきたのです。わたしとしては、かわいいと思ってしていたことでしたが、子どもがいやがることもあるのだと、そのときはじめて知りました

          6/13発売『インフルエンサーのママを告発します』作者のことば

          <ない>ものを見つめるということ――角田光代さん×姫乃たまさんトークセッション

          2023年2月23日に、芳林堂書店高田馬場店8Fイベントホールにて行われた、『永遠なるものたち』発売記念イベントでの対談をお届けします。角田さんとたまちゃん、と呼び合う二人には、どのような関係(接点)があったのでしょうか……? 秘密はレモンサワーにあり……⁉ 不思議なリズム感で繰り広げられるトークセッションをぜひお楽しみください。 角田:今日はよろしくお願いします。 姫乃:角田さん! なんと、私今年の4月でこの仕事15年目になるんですけ  ど……きょう初めて人前でズボンをは

          <ない>ものを見つめるということ――角田光代さん×姫乃たまさんトークセッション

          読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」結果発表!

          2023年2月末に募集を締め切らせていただきました、『永遠なるものたち』読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」ですが、皆さまのご応募、まことにありがとうございました。 応募いただいた多数の力作の中から、姫乃さんとの厳密なる審査の結果、下記のように各賞を定める運びとなりました。 姫乃たま賞:はこもりひろみさん 「余所見」  姫乃賞:えりぽんおじさん 「姫乃たま『永遠なるものたち』を読んで」  https://note.com/jwavisavi/n/n891

          読書感想文コンクール「<わたし>の永遠なるものたち」結果発表!

          金井真紀書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』

          この本は神がかっている。いろんな意味で。 もちろん全体に漂うのはアッラーの存在感だ。主人公のフィカルさんは15年以上前から香川に暮らすインドネシア人。毎日5回のお祈りを欠かさない敬虔なイスラム教徒で、モスク建立を思い立つくらいだからアッラーへの信仰心が半端ない。神様が随所に出てくるのは当然である。だが、それだけではない。イスラム教徒に言わせれば「アッラーのほかに神はなし」なのだろうけど、あぁわたしには見えてしまったよ、降臨する取材の神様の姿が。 書名の通り、本書は「香川にモ

          金井真紀書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』

          【目次】『教室を生きのびる政治学』(岡田憲治著)

          序章 大前提:力を抜いて自分を守る――善・悪・社会 ◆教室のなかの安全保障 日々の悩みや不満から始める 「今日からあなたは主権者です」 ◆だれも立派な人にはなれません 自分の足元から考える 天気予報も出口調査もハズれる 頭と身体を動かすために 立派な人になるより切実なこと ◆友だちが100人も必要なワケがない ゆるくつながること 顔も知らない隣人たちの集まる「社会(ソサエティ)」 僕たちは一人残らず弱くて小さい ◆世界史に一度しか登場しない僕たち 一人の人間がいることの奇跡

          【目次】『教室を生きのびる政治学』(岡田憲治著)

          不眠、社会化されない病のエセー|伏見瞬

          「第七に睡眠」 どんな運動体でも共同体でも組織体でも、眠りをおろそかにするものはすべて信用に値しない。人が共に生きるための前提条件、つまり孤独の根拠を無視しているからだ。  森元斎は無政府主義を平易に解説せんとした『アナキズム入門』(ちくま新書,2017)において、19世紀ロシアの革命徒ミハイル・バクーニンの以下の言葉を引いている。スイス・ジュラ地方でインターナショナル会員と議論した際に、バクーニンが人間の幸福について語ったものだという。  森はバクーニンを紹介する章の最後

          不眠、社会化されない病のエセー|伏見瞬

          【さきよみ】岡田憲治『教室を生きのびる政治学』より「はじめに」全文掲載!

          はじめに   突然だが、こういうモヤモヤする経験はないだろうか?  とある学校行事に向けたクラスでのホームルーム。場を仕切っているのは声が大きいタイプのいつものメンバーで、あまり発言しない人たちはまるでその場にいないかのように話が進んでいく。話があっちこっちにとっ散らかってかみ合わず、議長役のクラス委員も、みんなも重苦しくなっている。感情もふくめてどんどん迷走していくさまは、もはや議論とは言いづらい。打開するために多数決をとってみたら、賛成51% ・ 反対49%となり、結果

          【さきよみ】岡田憲治『教室を生きのびる政治学』より「はじめに」全文掲載!

          tofubeats書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』

          作者の岡内大三氏と知人でもあるというKotetsu Shoichiroさんという香川在住の友人アーティストよりお薦めしていただいてこの本を手に取った。読後、こんなに人に優しくありたいと思えた本はひさびさである。  この本はフィカルさんという日本に移住してきたインドネシア人が、彼の住む香川県の地方都市にイスラム教の礼拝施設であるモスクをつくるまでを作者が取材した取材記だ。モスクについてもイスラム教についても詳しくはない自分でも非常に興味深く読めた1冊である。  地方都市でモスク

          tofubeats書評『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』

          立ち読み『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』プロローグ

          プロローグ 「香川県にモスクをつくろうとしているインドネシア人がいる。その男は、溶接工で、長渕剛が好きらしい」 その噂を聞いた私は、背後のヘッドライトに煽られながら、車で香川県のX市に向かった。 2019年3月某日の夜7時。私はその男と会うために、瀬戸内海に面した工場地帯を抜け、やがて住宅団地の神社の駐車場にたどり着いた。モスクがイスラム教の集団礼拝所だとは知っていたが、タイル張りの細密画で装飾された宗教施設という印象が強く、あのような建造物が香川県の地方都市にできること

          立ち読み『香川にモスクができるまで──在日ムスリム奮闘記』プロローグ