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目次たちよみ『コンヴァージェンス・カルチャー』

反響を呼んでいるH・ジェンキンズ『コンヴァージェンス・カルチャー:ファンとメディアがつくる参加型文化』。本書で論じられているのはすべて、トランスメディアの先駆けともいえる大ヒット作品。気になるかたのために、それぞれの章の内容を、かいつまんでご紹介します。
※詳しい目次はこのページの下にあります。

イントロダクション
「コンヴァージェンスの祭壇で祈ろう」

――メディアの変容を理解するための新しいパラダイム

《コンヴァージェンス》とは何だ? 映画やアニメ、ゲーム、コミックなど多岐にわたるメディア・プラットフォームのもとに、ポップカルチャーのファンたちは集い、コミュニティをつくり、新しい知識を共有しあう。メディア産業は、コンテンツをただ「消費」させればいいという古びた考えを改めなくてはならなくなった。ファンと制作者の関係は、どのように変化してきたのか。

第1章 『サバイバー』のネタバレ

――知識コミュニティの解剖学

『サバイバー』は米国で制作・放送され、その後日本を含め世界各国で制作されたリアリティ番組(台本や筋書きがないことになっているドキュメンタリーのようなテレビ番組)。ジャングルなどの僻地に隔離された16〜20人の参加者たちが「トライブ」と呼ばれるグループに分かれ、サバイバル生活をしながら賞金・賞品をめぐって争う。最後のひとり「最強のサバイバー」を目指し、ほかの参加者を投票によって追放することで人数を絞っていく。
この章では、次の展開をいち早く知ろうとするファンたちによる「ネタバレ」をめぐるオンラインでの情報合戦に着目し、集合知専門知について見ていく。

第2章 『アメリカン・アイドル』を買うこと

――私たちはリアリティ番組でどのように売られるか

『アメリカン・アイドル』は、世界的ブームになったアイドルオーディション番組。ケーブル放送局(cable network)に視聴者を奪われる地上波放送局(broadcast network)の対抗手段として生まれた最も人気のあるリアリティ番組の一つである。
『サバイバー』同様に制作者と視聴者の間での情報戦が繰り広げられているが、『アメリカン・アイドル』を巡ってはスポンサー企業の思惑も加わり、ブランドに対する愛憎という「情動経済」の側面も加わってくる。


第3章 折り紙ユニコーンを探して

――『マトリックス』とトランスメディアのストーリーテリング

「マトリックス」フランチャイズは1999年に公開された映画『マトリックス』を皮切りに、3本の実写映画(2021年に4作目が公開予定)、アニメ、ゲーム、コミックなどを含む。キアヌ・リーヴズ演じるハッカーのネオが、自らが生きる世界はコンピュータによってつくられた仮想現実だと気づき、機械による支配に立ち向かう抵抗運動に加わって戦う様子を描く。その後のアクション映画に多大な影響を及ぼした。
本章では、クリエイターが世界観をつくりだすために挑んだ、実験的なメディアミックス戦略について語られる。


第4章 クエンティン・タランティーノの『スター・ウォーズ』?

――草の根の創造性とメディア産業の出会い

「スター・ウォーズ」フランチャイズは1977年に公開された『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』を皮切りとし、9本の実写映画に数本のスピンオフ映画や実写ドラマ、アニメ、ゲーム、小説などを含む、各種コンテンツの巨大な集合体である。スカイウォーカー一族を中心に、銀河共和国の衰退と独裁的な銀河帝国の興隆、そして帝国の横暴に対抗する反逆者たちの戦いを描く宇宙活劇である。
極めて熱狂的なファンダムが存在し、ファンの手によりさまざまな短編映画やゲームが製作されたが、著作権を盾にルーカスフィルムなどがファン活動を規制しようと動き出す事態も起きた。


第5章 どうしてヘザーは書けるのか

――メディアリテラシーとハリー・ポッター戦争

「ハリー・ポッター」フランチャイズは7作の小説およびその映画化作品を中心に、戯曲やスピンオフ映画、スピンオフ書籍などからなる。両親を亡くした少年ハリー・ポッターが自らが魔法使いであることを知らされ、ホグワーツ魔法魔術学校で魔術を学び、師や友人たちと協力して闇の魔法使いであるヴォルデモート卿と戦う様子を描いている。
児童向けの作品であったため、若い読者層を中心に大きなファンダムが発達した。若いファンにとってはファンフィクションを制作することが読み書きスキルを磨くための絶好の機会となったが、映画化権を獲得したワーナーブラザーズや、『ハリー・ポッター』を敵視するキリスト教原理主義者たちは、そんなファン活動の規制に乗り出していく。


第6章 民主主義のためのフォトショップ

――政治とポップカルチャーの新しい関係

あのトランプがブッシュをクビにする? インターネットが広く普及したのちの2004年米国大統領選挙では、候補者と有権者がともにメディア・テクノロジーとポップカルチャーを駆使して、それぞれの意見や立場を主張し合った。ポップカルチャーと公共文化の強くて複雑な結びつきを見る。


結論 テレビを民主化する?

――参加の政治学

ポップカルチャーという遊びをとおして得たスキルは、私たちが学び、働き、政治参加し、世界中の人たちとつながる方法さえも変えてしまう。「真面目」ではないものの楽しみが持つ力とは。


あとがき

――YouTube時代の政治を振り返る

CNNとYouTubeが共催し、大統領候補者選出のための討論会を開いた。8人の候補者が、YouTube上にアップされた一般市民からの質問動画をみて、その場で回答するという内容だった。そこで放送された、ふざけているようにしか見えない動画の数々。政治を茶化し、パロディ化することで得られる力があったのだ。

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オードリー・タン氏(台湾デジタル担当政務委員大臣)推薦!
メディア論・ファンダム研究の名著、待望の邦訳!
世界的ヒットを記録したエンターテインメントは、多くのファンたちが積極的に参加することで熱狂の渦が生まれた。
映画やアニメ、ゲーム、コミックなど多岐にわたるメディア・プラットフォームのもとに、ポップカルチャーのファンたちは集う。ファンと産業界が衝突しながらもともに切りひらいてきた豊かな物語世界の軌跡をたどり、参加型文化にこれからの市民社会を築く可能性を見出す。

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