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私がもう死にたいと思わなくなった理由|【4/28発売】『発達障害で普通に生きられなかったわたしが交際0日で結婚するまで』まえがき

4月28日発売安藤まな『発達障害で普通に生きられなかったわたしが交際0日で結婚するまで』まえがきを先行公開!

幼いころより社会に適応できず、常に絶望にまみれ、希死願望も抱えていた著者が、「生き延びるために結婚したい」と交際0日婚したことにより、幸せを感じられるようになったという自伝エッセイ。
「ADHDでも、毒親に育てられたとしても、今がどんなに不幸でも、幸せになることはできる」そう語る著者が懸命に行動を起こし、自らで手繰り寄せた「しょぼい幸せ」の形とは?

本書発売前に、ぜひまえがきをご覧ください。


まえがき

夜、暗くなったリビングで、精神科から処方された薬が大量に入った缶を開け、「ここにある薬全部飲んだら死ねるのかな」と考える。そんなことを考えてからもう何日が過ぎただろうか。気が付けば毎日毎日同じことを考えている。
生きることに希望を見出せない。

生きるのが辛く、なんで生きているのだろうかと考えてしまう。毎日死が頭をよぎる。
それでも、缶の中の薬をすべて飲んでしまうことはできない。そのことが私を更なる絶望に陥れる。この苦しみから逃れられないのだという絶望に。

物心ついた頃から私は人とは少し違っていた。幼稚園の頃から集団には馴染めず、一人で過ごすことが多かった。自分の気持ちを表出するのが苦手で、ほとんど何も喋らなかったから、友達はほとんどできなかった。ADHD(注意欠陥多動性障害)によるところが大きかったのだが、それが分かったのは20歳になってからだった。

周りとの違いを意識し始めたのは小学4年生のころだ。それから自分と周りの子の違いに戸惑いを感じるようになり、周りと馴染むことができない自分に嫌気がさすようになった。
それと同時に様々なことが私の身に降りかかり、重度のストレスから強迫性神経障害を患った私は不登校となってしまった。

それからまともに学校に通えたことは一度もない。学校に通えなくなった私は普通の子ではなくなってしまった。

普通に生きられないことに苦しみを感じるようになり、なんで私はこんなに辛いのに死なずに生きているんだろうと頻繁に考えるようになった。心から楽しいと思えることも次第になくなっていき、幸せを感じることもできなくなっていった。自分が生きている意味がまったく分からなかった。
よく家族に「今幸せ?」とか「人生で楽しいって思ったことってある?」とか「なんで生きてるのかな?」とか質問していた。家族はいつも反応に困っていた。

死ぬことができないからなんとなく生きている、そんな人生だった。

「人生だった」と書いたのは、今はもうそうは思わなくなったから。

今は幸せを感じながら生きることができていて、「死にたい」と思うこともほとんどなくなった。なぜなら好きな人と結婚し、理解ある優しい人たちに囲まれて生活できているから。
 
この話は生きることに希望を感じることができず、生きていても幸せだと感じなかった私が、結婚をきっかけに幸せだと思えるようになるまでのお話だ。

私が筆を執ったのは、今生き辛さを抱えて苦しんでいる人たちに、結婚という一つのソリューションがあるということを伝えたいと思ったからだ。結婚したことで私の人生は一変し、苦しんでいたことのほとんどが改善されることとなった。

昨今は、自立しなければ生きていてはいけないという風潮が色濃く、なんでもかんでも自己責任だと簡単に片付けられてしまうような息苦しい世の中だ。
もちろん、きちんと自立して生きていける人もたくさんいて、それは大変喜ばしいことだと思う。もし私も自立して生きていけたのならばそうしたことだろう。

しかし、私にはそれがどうしてもできなかった。そして私のように、世の中に馴染めず、排除されてしまう人も少なからず存在するのだと思う。

そんな状況で苦しんでいる人たちに、この本を通じて「人に依存して生きること」の心地よさ、安心感、幸福感が伝わることを願ってやまない。



まなさんカバー 帯付き(ピクセル修正済)

『発達障害で普通に生きられなかったわたしが交際0日で結婚するまで』
四六判・並製・256頁
ISBN :978-4794971746
本体価格:1500円(+税)
発売日:4月28日

装丁:芥陽子 イラスト:おのしのぶ

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https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784794971746(版元ドットコム)


もくじ
まえがき
第1章 どこにも居場所がなかった20年間のこと
第2章 しょぼい喫茶店に行く
第3章 人生どうにもならないので家出してみた
第4章 交際0日で結婚したら人生最大の修羅場がやってきた
第5章 はじまった結婚生活
第6章 幸せが連鎖する場所
あとがき

著者:安藤まな
1997年東京都生まれ。主婦。幼少期から登校拒否、落第寸前などを繰り返し、大学在学中に発達障害の診断を受ける。なんとか「普通のレール」に乗ろうという強迫観念から日々もがき続けるも、結婚し養ってもらうことで生きることを決意。当時気になっていた男性とお付き合いをせず、親に黙って交際0日で入籍。その後始めたブログで、発達障害、毒親、結婚のエピソードが大きな人気を集める。今作が初の著作。